ランタンを購入するとき選定基準として誰もが考える大きな要素が明るさではないでしょうか。
ランタンの明るさは調子や圧力、マントルの選択で大きく変動するのであまり明るさを気にしても仕方がないといってもやはり自分の持っているランタンの明るさは気になります。
人の目というのは案外いい加減なもので二つ並べたランタンでもどちらが明るいかは判別がつきますが明るい方が1.5倍明るいと数値化することは出来ません。
そこで照度計(ルクスメーター)でランタンの明るさを測って較べてみることにしました。
ペトロマックスHK500の明るさは500CPでコールマンのノーススターは360CP とキャンドルパワー表記になっています。
一方、LEDランタンや普通の照明器具はルーメンで表示するのが標準となっています。
照度計で測れるのはルクスなので計算サイトでルクス、ルーメン、CPに換算しています。
測定値がだいたい合っているかを確認するため、200W の白熱電球から1mの距離の明るさを照度計で測り、これを基準に各ランタンの明るさと比べてみることにしました。
目次
(参考にしたサイト)
ランタンの明るさを表すのにCP(キャンドルパワー)が良く使われます。
CP≒カンデラなのでこのサイトで計算したカンデラをCPとして書いておきます。
マントルと明るさの関係
使用するマントルによって色と明るさが大きく違います
左はシーアンカーに付属していたのと同じタイプのマントルでヤフオクで送料込み12枚600円で購入、
右はコールマン11型タイプのマントルでAliexpressで30枚送料込み11$で購入したものです。
左のマントルは空焼き後に丸い形になり右のマントルは細長い形になります。
左のランタンが右のマントルを装着したコールマン249で右のランタンが左のマントルを装着したケロシン化286です。
灯の色はランタンの種類よりも使用するマントルによる影響が大きく、圧力を上げて明るくしても色温度はあまり変わらないので落ち着いた赤い光が好きな人は左のマントルのように繊維の太いタイプを選ぶとよいでしょう。
少しでも明るい光が欲しい人は右のタイプのマントルを使うと幸せになります。
照度を測ったランタンは右のマントルを使いコールマンのランタンはポンプが押せなくなるまで圧力をあげ、ペトロマックス系ランタンは赤線ギリギリの圧力で照度を測ったチャンピオンデータで明るさを比較しています。
何回か測って平均を取れば正しい照度を測れそうですが、ランタンはマントル、加圧、気温等使い方で明るさが大幅に変化するので一時的な平均データをとるよりもチャンピオンデータで比較する方が判りやすいのではないでしょうか。
写真だけでどのランタンの照度を測ったのかがわかるように、部屋の電気を消してランタンから1mの距離で照度計をランタンに向けて測定しデータをホールドしてから電気をつけて照度計の値と背景のランタンを撮影しました。
明るさの基準として200W電球の照度を測ってみました
235ルクス≒2950ルーメン≒235CP(キャンドルパワー)
この電球はホームセンターで買った耐震白熱電球でフィラメントが大きなクリアガラスの電球です。
明るさ計算でルクスとルーメンを換算するには照射角と距離を決める必要があります。
距離は1mで測り、照射角は電球もランタンも全方位に光を発するので照射角360度です。
バックにレンジ用アルミカバーがあるので本当は反射した光も考慮に入れなければなりませんが、すべて同じ条件で測るので相対的には誤差にならないものとしてバックの反射は無視します。
電球の明るさは235ルクスで、明るさ計算のサイトで換算すると2953.1ルーメンになりました。
標準的な200W 電球の明るさ目安は3330ルーメンとなっていますが、この電球はフィラメントが大きく広がっていて熱が逃げやすく効率が悪そうなので、照度計はほぼ正しい値を示していると思われます。
ケロシン化285の明るさ
123ルクス≒1545ルーメン≒123CP (白熱電球100W相当)
ケロシン化した2マントルランタンコールマン285を測ってみました。
写真は自作のランタン専用余熱バーナーでプレヒートしているところです。
123ルクス≒1545ルーメンの明るさでした。
100W の白熱電球相当の明るさです。
圧力はポンプが押し込めなくなるまで加圧しています。
照度計で測ると圧に比例して明るくなるのが確認できます。
圧力をめいっぱいかけると明るくはなりますが1~2時間ほどで暗くなり、バルブをいったん閉めて開けてやるとまた明るくなる症状が出ることがあります。
最初はジェネレータの汚れかバルブの詰まりを疑いジェネレータを交換してバルブを分解クリーニングした直後も同じ症状が現れました。
これはジェネレーターへ加わる熱量に比して燃料の噴出量が多くなりすぎるために気化しきれない灯油がノズルに煤としてこびりつくためではないかと考えています。
コールマンのケロシンランタン639の明るさ
306ルクス≒3845ルーメン≒306CP (200W白熱電球超)
306ルクス≒3845ルーメンで、200W白熱電球を超える明るさでした。
流石ノーススターに匹敵するといわれる大型ケロシンランタンですがノーススターの公称値350CP には届きませんでした。
ペトロマックスHK500の明るさ
422ルクス≒5303ルーメン≒422CP (300W 白熱電球を超える明るさ)
ケロシンランタン最強と評判の本家ペトロマックスです。
422ルクス≒5303ルーメンで300W 白熱電球を超える明るさです。
赤線の位置まで加圧しています。
謳い文句の500CP には届きませんでした、もっと圧力を上げて大きなマントルを使えば500CP まで届きそうな気はしますが、実用的な明るさとしてはちょっと誇大広告ではないかという気がします。
金球杯の明るさ
231ルクス≒2900ルーメン≒231CP (180W 電球程度の明るさ)
231ルクス≒2900ルーメンで200W 電球に近い明るさとなりました。
この金球杯はどう調整してみてもペトロマックスやシーアンカー程明るくなりません。
それとポンプで加圧するときにやたら固くてマントルが壊れるのではないかと思うほど振動するのが気になっていました。
外部ポンプ接続用バルブを手に入れたので圧力計付き電動ポンプで加圧してみたところ赤線位置の2Kgcmにするのに4Kgcmの圧力が必要なことがわかりました。
チェックバルブでの圧損が異常に大きいことになります。
ペトロマックスやシーアンカーではそのようなことはなく電動ポンプの設定圧力がほぼランタンの圧力計が示す値と等しくなります。
他にも作りが雑なところがいくつも見受けられますので圧力計の値がくるっていて低い圧力で燃焼している可能性も考えられますがこのランタンはこれ以上弄る気も起きないので原因の追究はしていません。
フロストグローブシーアンカーの明るさ
314ルクス≒3945ルーメン≒314CP (200W白熱電球を超える明るさ)
314ルクス≒3945ルーメンでフロストグローブを装着していてもコールマンの639を超える明るさとなりました。
シーアンカーは材質がスチールで質感ではペトロマックスに及びませんが工作精度は悪くなく性能はペトロマックスに匹敵します。
コストパーフォーマンスを重要視するならば選択の価値があるランタンです。
コールマン249の明るさ
143ルクス≒1797ルーメン≒143CP (110W 電球相当の明るさ)
入手したばかりのビンテージランタンコールマン249(1936年カナダ製)の明るさを測ってみました。
このコールマン249は80歳を超えるケロシンランタンでタンクサイズは286や200より一回りコンパクトですが重厚なパーツを使っているためずっしりと重いランタンです。
このランタンにも500/600CP用ソックス型のマントルを装着しました。
※このマントルを山ほど買ったので出来るだけ使いたいのです(笑)
プレヒート用ガストーチで30秒ほど加熱してからバルブを開ければ点灯しました。
143ルクス≒1797ルーメンで110W 電球相当の明るさでした。
この明るさだと小さい体でめいっぱい頑張っているためポンプもフィラーキャップも長くは触れないほど熱くなってしまいます。
249の優秀なところは圧を下げれば1/5の明るさでも安定して点灯してくれるところです。
ケロシンランタンはバルブで明るさを調整するのが難しくバルブを絞るとジェネレータが詰まりやすいといわれていますがキャップを緩めて圧力を逃がすことである程度明るさの調整が出来ます。
ガソリンランタンでそのようなことをすると引火の危険がありますが灯油が燃料の場合は燃焼中でも安心してキャップを緩めて圧力を下げることが出来るのが特長です。