バタフライ、シーアンカー、金球杯というペトロマックスのケロシンランタンをコピーしたランタンがあります。
シーアンカーと金球杯
出来心で金球杯(新品)に手を出したのがきっかけであっという間にブラスのペトロマックス(新品)、シーアンカー(新品)、バタフライ(中古)と4つのペトロマックスタイプのケロシンランタンを手に入れてしまいました。
そこでこの4つのケロシンランタンを比較してみました。
下のリストは独断と偏見に基づいた個人的感想で品質の高い順番に並べています。
部品の比較
写真はプレヒートバーナーの火口で左からペトロマックス、バタフライ、シーアンカー、金球杯です。
ペトロマックスとバタフライは真鍮製で丁寧に作られていて、
シーアンカーは最近の工業製品らしく加工の難しいステンレスで作ってあり、
金球杯の「適当に削ってレバーが当たらないように調整しました。」感は悪い意味での家内工業的な全体の作りを象徴しています。
1.ペトロマックス
ペトロマックスにはクロムメッキとブラスの2種類が販売されています。
クロムの方が完全鏡面に近く手入れも簡単なのですが妖しいブラスの輝きに魅せられてブラスタイプを購入しました。
どちらも材質はインナーチムニーを除きブラスで性能は同じ筈です。
ペトロマックスの購入
最近のペトロマックスは中華製とのことで底面に6桁の数値が刻印されていると中華製だそうです。
私の入手したペトロマックスも底面に6桁の数値が刻印されていました。
それから古いタイプのペトロマックス型ランタンにあったバーナーのU型管の空気調整ネジがついていませんでした。
この空気調整ネジを調整することは殆ど無くてU型管の高さ調整だけで空気量を調製していましたし、これが無くてもペトロマックスが一番明るいので無用の長物とみなされて廃止されたのかも知れません。
ただ、こだわりのあるユーザーはいるものでAmazonのレビューに「空気調整ネジがないので返品してやったぜ!」と書き込んでいる人がいました。
(シーアンカーの空気調整ネジ)
購入時のトラブル
精度は悪くありませんがプレヒート皿が目視ではっきりわかるほどロウ付け不良でアルコールがダダ洩れだったのにはやはり中華製と感じさせられました。
プレヒート皿の件は販売元に連絡して良品を送ってもらいましたので購入については満足しています。
中華製ガスバーナーやランタンを色々と購入してみて感じましたが最近の中華製品は製品の精度や仕上げの美しさではほぼ日本製と互角と言っていいと思います。
ただし不良品や不良個所が混ざるのは当たり前でその場合は交換で対応すれば良いと割り切っているところが国産品との違いです。
ペトロマックスの良い所
ホヤを取り外すためにインナーチムニーを着脱する時に組立精度の違いを感じます。
ペトロマックスは無駄な力を必要とせず位置さえ合わせればカチッと嵌り、流石と感じられます。
最初からペトロマックスを買った人にとっては当然のことに思えるかも知れませんが最初に買った金球杯がジェネレータのノズルを思いっきり横に押しながら差し込まないとインナーチムニーが嵌らない状態だったのでペトロマックのスムーズさは感動モノでした。
また、構造的にどこが違うのか不明ながら4つのランタンの中でペトロマックスが一番明るく輝きます。
ペトロマックスの明るさ
マントルから1mの位置で測ったベストコンディションの明るさは422ルクスでほぼ420カンデラ=420CP(キャンドルパワー)です。
測定場所の都合で背景にアルミの反射板があるため測定値は背景からの反射光で底上げされています。
他のランタンも同じ条件で測っているため明るさの比較としては問題ありませんが公称値としての明るさは何割か下回り300ルクス台に留まることになります。
ペトロマックスやコールマンのランタンの明るさを測定してみて思ったのは
「ペトロマックスの500CP ってのはちょっとサバを読みすぎじゃない?」
ということです。
そもそもランタンの明るさは使うマントルやコンディションで倍以上も違うためカタログ値なら平均的な値でなくてはならないと思いますが、
ベストコンディションでも届かない値を謳っているのはいかがなものかと。
まあその辺りは業界でも暗黙の了解になっているのでしょう、
300ルクスと400ルクスのランタンを並べて見ても人の感覚では「400ルクスの方が多少明るいかな。」くらいにしか感じませんし暖色系で輝くマントルは照度計で較べるとかなり暗いのですが人の目には明るく見えたりします。
あるランタンの明るさを表記するのにペトロマックス比300CPと記述してあったのを見て妙に納得してしまいました。
誰も気にしないようなことを突っ込んで夢を壊してはだめ、ということなのでしょうね。
ちょっと残念なところ
最近の製品は加工精度が上がったためか古い製品に比較して材料をケチっているような気がします。
そのせいかどうかはわかりませんがタンクを加圧する時と圧力を抜いた時にタンクの底が「ペコン」と音をたてます。
実用上は問題ありませんが何となく安っぽくて残念な感じです。
2.バタフライ
ジャンク品としてヤフオクに出品されていたものを落札しました。
作りはフシミ製作所製のバタフライランタンに似ていますが銘板はなくどこで作られたものかは不明です。
材質はハンドルとフレームの押さえ板、インナーチムニー及び小さなワッシャを除いて真鍮製でほぼペトロマックスに匹敵します。
※ペトロマックスはインナーチムニーがステンレスで作られている以外は全て真鍮製です。
ただしポンプ部のキャップは削り出しでプレス製のペトロマックスより重厚感があります。
ジェネレータ―とインナーチムニーが煤で汚れていて点火を試みた形跡はありましたがほぼ新品に近いコンディションでした。
反射板もついていました。
ポンプカップが破れて圧力が上がらなかったのでポンプカップを交換したら一発で点火しました。
ペトロマックスの400ルクス超には及ばないもののベストコンディションで361ルクスと本家ペトロマックスに次ぐ明るさを記録しました。
下の写真はU字型チューブについている空気調整ネジで左から金球杯、シーアンカー、バタフライのものです。
※新しいペトロマックスにはありません
バタフライの空気調整ネジの仕上げが段違いに丁寧なことがお判りでしょうか。
3.シーアンカー
明るさや安定した点灯等機能的にはバタフライに匹敵し、ペトロマックスに近いものがあります。
材質が鉄なのがちょっと残念ですがコールマンのランタンも初期のものを除いて鉄のタンクやフレームなので耐久性にも問題はないのかも知れません。
インナーチムニーの嵌り具合もまずまずですが、ペトロマックスやバタフライに較べて少しジェネレータ―を横に押しながらでないと嵌りません。
4.金球杯
一見シーアンカーと変わらないように見えますが
プレヒート用バーナーの作りが雑で、フレームの精度もいい加減でフレーム押さえ板がどうしても傾いてついてしまいます。
インナーチムニーを嵌める時もジェネレータ―を思いっきり横に押しながらでないと嵌りません。
そのためジェネレータのノズルの位置がバーナーのU字管の中心からかなり外れてしまいます。
金球杯だけは空気量を調製しても他の3つのランタンに較べて明るくならず、それはジェネレータのノズルがオフセットしているために気化した灯油がバーナーに入らずに逃げているためでではないかと推測しています。